テニスのプロのサーブのフォームを見ると、「トロフィーポーズ」と呼ばれる姿勢を通常は取ります。
これは右利きならば左腕を高く上方へ伸ばし、右腕は担ぐようにする姿勢(ポーズ)のことです。
ある程度威力のあるサーブを打とうとするならば、基本的には姿勢なポーズです。
サーブの威力を上げ、高い確率で入るサーブを打つことができず、悩んでいる中級者向けに以下に解説します。
テニスのサーブのトロフィーポーズとは?
テニスのサーブのトロフィーポーズは、いわゆる「弓を引いた状態」のように、力を溜めた状態で、ここからラケットを前方に振り始めます。
右利きならば左腕を上に伸ばし、右腕を軽く担ぐような形(*ラケットは背中側に行かず、身体の前側)となり、肩は左が上で右が下となるように傾きます。
よくある誤解は、サーブのフォームの途中でトロフィーポーズで完全に静止してしまうこと。基本的には動きの中で一瞬このポーズを取るだけで、身体は滑らかに動き続けた方が良いです。
その方が無理な力が入らず、怪我をするリスクを低くすることができます。
言葉の説明だけではわかりにくいので、ロジャー・フェデラーの美しいサーブのフォームを動画で見てみましょう!
決してトロフィーポーズで完全静止するのではなく、滑らかに動いていることがわかるでしょう。
一般のテニスプレーヤーで、トロフィーポーズで完全静止してしまう方が案外多いのは、ここで力を溜めるという意識が強いことと、トスの高さが高すぎる、あるいは安定しないため、ここで待ってタイミングを調節しようとするためです。
まず自分のフォームが安定するように素振りを繰り返し、自分のリズムで打てるようなトスの高さを把握し、前後左右の位置だけでなく、トスの高さも狙って安定させましょう。
サーブのフォームの正しいイメージをインプットする!
サーブの上達を目指すのであれば、どのようなフォームで打つのかというイメージを、脳にインプットしなければなりません。目指すフォームがイメージできていない状態で、ひたすらボールを打っても自分のサーブは完成しないでしょう。
また一般のテニススクールなどに通う中級レベルのプレーヤーは、サーブ練習をする機会が非常に限られていることが多く、その状況でサーブの上達を目指すならば、テニスコートに行けなよう時でも素振りとトスの練習が欠かせません。
特に素振りは、目指すフォームがインプットできていないと、間違った癖がつくだけになりがちですので、ひたすら目指すフォームに近い動画を探して、何度も繰り返し見てインプットしましょう。
動画も、漠然と見ても、重要なポイントが理解できない可能性があります。コツは、トロフィーポーズの形、体幹(背骨)の傾き、両肩を結んだ線の傾き、スイング方向、プロネーション、スタンスの向き、打点などを1つずつチェックしていくことです。
ちなみにテニスのすべてのショットにおいて、グリップは重要です。グリップが変わるだけですべてが変わってしまうためです。
トッププロのサーブの場合は、ほとんどがコンチネンタルか、コンチネンタルよりも少し薄いグリップです。
フェデラーは、サーブのフォームの開始時のラケット面の向きから、ほぼコンチネンタルグリップのように見えます。ただし、手首をかなり脱力した状態からスタートしているため、ラケットヘッドがほぼ真下を向いており、少しわかりにくいです。
多くのプレーヤーは、この時点でもう少し手首に力が入っていて、ラケットがコート面と平行方向になっています。その時点でラケット面がコート面に対して垂直ならばコンチネンタル、自分の側のラケット面が少し上を向いていればコンチネンタルよりも薄いグリップとわかります。
錦織圭選手のサーブを見ると、自分の側のラケット面が少し上を向いているので、コンチネンタルよりも薄いグリップであることがわかります。
自分でどのようなグリップにするのかを決め、サーブの始動時にラケット面の向きを確認するようにしましょう。
野球の投手の投げ方との違い
テニスの初心者にサーブやスマッシュを教える時に、テニスボールを野球のように投げることから教えることがよくあります。これは特に、プロネーションを上手く使えていない方には良い練習方法でしょう。
しかし、中級者ぐらいになってくると、野球のピッチングでのフォームと、テニスのサーブのフォームの違いを理解する必要があります。
野球のピッチングでもっとも力が溜められている瞬間(投げる直前)を、テニスのトロフィーポーズと比較するとわかりやすいでしょう。
野球では、マウンドからホームに向けて投げます。投げる直前は、ほぼ両肩を結んだラインが水平になり、両肩が投げる方向に正対します。体幹はほぼ垂直になるでしょう。
つまり、体幹の水平方向のひねり戻しを使いながら、背骨を傾けずにボールを投げます。
テニスの場合は、ドフラットで打つことはほとんどなく、何らかの回転を掛けて打ちます。その場合、インパクトまでに両肩を結んだ線が打つ方向に正対することはなく、スイング方向もボールが飛んでいく方向とは異なります。
また体幹はトロフィーポーズから少し背中方向に傾いていることが多いです。フェデラーは比較的この傾きが小さく、身体への負担をできるだけ減らすことに配慮したフォームのように見えます。選手によってはもっと背中側への傾きが大きいこともあります。
これは、野球のピッチングとは異なり、トスを上げて、自分の身長よりも高い打点でボールを打つために、打点を見る必要があることと関係があるでしょう。
右利きならば、トロフィーポーズから左腕をおろしながら、その反動を利用して右腕を振っていきます。その時に少し胸を張るようなイメージ振っていけば、自然とラケットは下から振り上げるようなスイングになりやすく、縦回転がかかります。
中級者が間違いがちなスライスサーブのフォームは、これと比較すると理解しやすいです。つまり、体幹をほぼ垂直なまま、水平方向のひねり戻しでボールの横をこするような打ち方になりやすいです。
これではトロフィーポーズからの両肩の高低差の入れ替えなどはあまり意味がなくなります。また体幹を傾けないので、縦回転も掛けにくいです。
トロフィーポーズから、少し背面方向へ体幹を傾け、両肩の高低差を入れ替え、胸を張るように修正していけば、レベルアップできるでしょう。
テニスのサーブアンドボレーのコツについてこちらの記事で紹介しています。
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