テニスの中級者になった頃にスピンサーブの練習を始める人が多いです。中級者同士の試合や練習では、強烈なスピンサーブを打つ人はほとんどいませんので、テニス大会などで上級者と試合をして、高く跳ね上がるスピンサーブを打たれると上手くリターンできないという経験をすることもよくあります。
「あのような高く跳ね上がるスピンサーブを打ちたい!」という憧れから、頑張って練習し始めるのですが、イメージしたようなスピンサーブが打てず、さらには腰を痛めてしまうこともあります。
プロではない一般の社会人や私のような中年以上の年代の方でも、無理なく打てるようなスピンサーブの打ち方・コツについて紹介します。
*スピンサーブの打ち方について信頼できる解説がある良書はこちらです!連続写真を使ってわかりやすく紹介されています!
テニスの上級者の技術!中級からレベルアップするために!
テニスのスピンサーブの打ち方のコツ!
スピンサーブをこれからマスターしようとする人は、スピンサーブの動画やテニス雑誌の連続写真などを観るでしょう。とにかく「高く跳ね上がるスピンサーブを打ちたい!」という気持ちが強いと、身体を後ろに大きく反らせ、元に戻す打ち方をしようとすることが多いです。この動きが危険で、腰・背中を痛める原因となりやすいです。
特に連続写真を観ると、スイング始動からインパクトまでの背中の反りが印象的なので、その形を作ろうとして練習しがちです。本ブログでは「生涯スポーツとしてテニスを楽しむ!」ことをテーマとしていますが、プロではない一般のテニスプレーヤーがテニスを楽しむためには、「身体に負担の少ない打ち方」に重点を置くべきと考えます。
一般のテニス初級者・中級者向けのある講習会で、鈴木貴男氏がサーブの打ち方を指導する際に、大きく身体を後ろに反らした打ち方は怪我をするリスクが高いことを強調していました。高い実力がありながら、怪我に苦しめられてきた同氏のアドバイスだけに重みがあります。
それではどうすれば良いか?まず最初にやるべきは、身体の使い方を丁寧に確認しつつ、ゆっくりスイングして身体に負担が少ないフォームを習得すべきです。サービスのフォームは、トッププロでも個性があり、個人差も大きいので、誰のフォームを参考にするかが重要です。
おすすめしたいのは世界最高峰のオールラウンドプレーヤーであり、力みがなく、美しいフォームのロジャー・フェデラーです。レジェンドですので、連続写真や動画も豊富にあるので誰でもすぐ確認できるでしょう。注意したいのは、連続写真で身体の各部の使い方を確認したら、その後に必ず動画でも確認することです。
連続写真は一瞬を切り取っていますので、一連の身体の動きの中でどのようにしてその形が生まれるのか理解し難いからです。そのことが誤解を生み、不自然なフォームを練習して怪我をする原因の一つになります。また動画もスローモーションで詳しく見た後は、必ず通常のスピードのものを観ましょう。サーブのフォームではリズムが大切で、スローモーションだけを観ているとリズムがわからなくなるからです。
連続写真や動画は活用したいですが、ある程度詳しく書かれた解説書もあると理解が格段に深まります。テニス雑誌の特集でサーブの打ち方が定期的に企画されますが、その中でスピンサーブの打ち方に充てられるのはほんの少しです。さらにいろいろな考え方の人が、いろいろなプロの写真などを解説する形になっていることが多く、複数の記事を読んでも考え方がバラバラですし、そもそも目指しているところが違うこともありますので、混乱することが多いです。
私が読んだことがあるもっとも丁寧で詳しく、信頼できる良書としては、鈴木貴男氏の以下の著書です。
このぐらいの価格で、信頼できる情報が得られるので、手元に置いておきたい1冊です。電子書籍版もあります。
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テニスのスピンサーブの打ち方のチェックポイント
スピンサーブを打つためには、まずグリップを確認しましょう。基本はコンチネンタルグリップですが、スピンサーブを打つならばもっと薄いバックハンドイースタンでも良いでしょう。
スタンスは、打つ方向に対してクローズドからスクエアです。最初のスタンスの位置は、人によって大きく異なるのですが、それはスイングを開始してから後ろ足を動かして引きつけてからジャンプするか、それともその場でジャンプするかにもよります。
次に腕の振る方向です。スライスサーブと同様に、ボールが飛ぶ方向と腕を振る方向が異なります。右利きの場合、打つ方向に対して右にスイング方向がずれます。
身体の開きは、スライスサーブのように大きくなく、開きを抑え、横向きをキープしたまま打ちます。これがスピンサーブの習得が難しいポイントでもあります。スライスサーブやフラットサーブでは、もっと身体を開いて打つからです。
打点は、スイング軌道の頂点ではなく、もっと手前の低い位置にあります。ラケットヘッドが上がっていく動きの途中で打たなければ、縦方向の回転がかからないからです。これもスライスサーブやフラットサーブと異なる点です。
トスを上げる位置は、ベースライン方向でみた時は頭上、ベースラインに直交する方向(コートの縦方向)でみた時は少し前(コート内)が良いでしょう。自分よりも後ろ側に上げて、大きく身体を反らして打とうとすると怪我のリスクが高いです。
インパクトは薄い当たりになりすぎないようにしましょう。回転をかけようとすると当たりが薄くなりすぎ、コントローできなくなりますし、質の良いスピンサーブになりません。
テニスのスピンサーブの打ち方の極意
スムーズにスピンサーブを打てるようになるには、身体の構造による腕の動きを理解すると良いです。テニスでもスマッシュの練習などする時に、野球のようにボールを手で投げる練習をすることがあります。オーバーヘッドスローでボールを投げる時の腕の振りが、スマッシュの時の腕の振り方に似ているためです。
いわゆる内旋と回内の動きを分解して理解できれば良いですが、ここで解説したいのは腕を振る方向が身体の正面方向であるということ。野球でピッチャーがマウンドからキャッチャーめがけてボールを投げる時に、身体は正面を向き、腕は正面方向に振られます。
つまり、身体の構造上、腕は身体の正面方向に振られるわけです。このこととスピンサーブを打つ時に身体が開きすぎないように横向きをキープするということを考え合わせれば、自然と腕を振る方向が理解できますし、腕を振る方向に身体を向ければ、無理なくスイングできることがわかります。
またスイングする時に、腕と耳(*右利きならば右腕と右耳)の間が近くなり過ぎないようにすることも、肩を傷めないようにするために必要です。
テニスのスピンサーブの打ち方!写真だけを観ることの弊害
フォアハンドのトップスピンを打つ時に、強いスピン回転をかけようとして、大きなテイクバックから「切り返し」を意識してグリップエンドからリードするように引っ張り、インパクトで強くリストを効かせようとすると怪我をするリスクが高くなります。これも連続写真でスイングを分析し、グリップエンドから引っ張られるようにラケットが出て来る動きを誤解することによるものです。
一連の運動連鎖なので、一瞬を切り取ったフォームが同じでも、力の使い方や一連の動きが同じとは限りません。正しくは、ユニットターンで身体とともに小さくテイクバックし、後ろ足でコートを踏みしめて蹴るところから体幹の捻りを戻していき、足からの力を腰、肩、腕と伝え、ある程度脱力した状態で腕を振り回していけば、自然とグリップエンドからリードするスイングになります。
これと同様に、スピンサーブの身体の反りも、一連の動きの中で自然に作られるもので、「後ろに反って、戻す力でスピンをかける」というものではありません。
ロジャー・フェデラーのスピンサーブのフォームをスローモーションで観るとよくわかります。まず前述のトスの位置にトスを上げます。身体はベースライン方向におおよそ直交するような向きになっていますので、身体の前後方向に対してはほぼ真上、身体の左右方向に対しては左方向です(*コート内に上げています)。
トスを上げた腕をそのまま上に伸ばし、いわゆるトロフィーポーズで伸ばした腕の先にボールを見ます。そうすれば自然と少し身体が反ります。そして(右利きの場合)左腕を下げながら右腕を振っていく途中で自然にもっとも背中を反って見える瞬間があります。また少し前方(コート内)に上げたトスを打つために前にジャンプし、右腕上にスイングするために体幹もその方向に自然と傾き、インパクトを迎えます。
このような一連の動きの中で、自然と身体を後ろに反る瞬間があるだけであって、後ろに反って戻すことを意識してスピンをかけようとしているのではありません。トスの位置と腕を振る方向を意識すれば、無理なく自然にスイングできるでしょう。横向きの態勢をキープすることを意識して、腕が耳に近づきすぎ、スイングが窮屈になることもあります。その場合は、自然に体幹が少しコート内の方向に傾くこと、トスの位置を微調整することなどによって、自然にスイングできる打点を探しましょう。
まとめ
テニスのスピンサーブの打ち方のコツとよくある誤解について解説しました。長くテニスを楽しむためにも、身体に負担のかからないスピンサーブの打ち方をマスターしましょう。実はトッププロのロジャー・フェデラーもそのようなフォームです。過酷なATPのツアーで戦い抜くためにも、合理的なフォームが必要だからでしょう。
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